食後や寝る前に毎日使う“歯ブラシ”。実は、細菌の温床になっているおそれが…。何となく使っていると、うっかり細菌を増殖させたり、インフルエンザなど病気の感染源になるリスクもあります。対処法や、NG行為とは?
【写真を見る】歯ブラシには細菌がいっぱい!使い方次第では“便器ブラシ”状態に… 細菌の増殖やインフル感染リスクも高めるNG行為とは
歯ブラシを製造するサンスターによりますと、歯に直接触れる「毛」は一般的には約1200本、多いものでは約4200本もあるそうです。主にナイロンや飽和ポリエステルが使われています。
気をつけたいのは、この密集した「毛」や、ヘッド部分の管理。歯をキレイにするはずなのに、使い方次第で「便器ブラシのような状態」になってしまうそうです。
歯ブラシが“便器ブラシ”のような状態とは?
歯ブラシについて話を聞いたのは、幸町歯科口腔外科医院の宮本日出医院長(歯科医師・歯学博士)。宮本院長がまず指摘したのは、歯ブラシには「口の中の菌がたくさん付着している」ということ。その数は…。
(宮本院長)
「口の中の歯垢には、1グラムに1000億個の細菌がいる。これは“うんちの密度”と大体同じ」
口の中には歯周病菌、口臭菌、大腸菌、肺炎菌など700種類もの細菌が生息。特に歯の表面に付着した「歯垢」には、便とほぼ同じ密度で細菌が存在していて、使い方次第で歯ブラシは、まるで「便器ブラシのような状態」なのだといいます。
さらに、感染症にかかっている場合は、歯垢にウイルスが付着している可能性も十分にあるといいます。
そんな歯ブラシが他人のものと接触すると、自分にはないウイルスを取り込んでしまい、インフルエンザや風邪などに感染するおそれも…。
そして、付着した細菌をうっかり増殖させてしまう、“NG行為”が。
「鏡」がくもったら要注意 湿気とともに細菌が増殖
風呂上がりに洗面台の鏡がくもった経験はありませんか?実はこの状態、歯ブラシにとって「要注意のサイン」なんです。
洗面台の鏡をくもらせるのは、風呂から流れ込んだ、暖かく湿った空気。細菌やウイルスが大好物の「湿気」です。このとき、近くに保管している歯ブラシのヘッドや「毛」の根元にも、微細な結露が生じていて、細菌が増殖してしまうのです。また、ウイルスは歯ブラシに付着しても増殖しませんが、生き残りやすい環境に…
一方、細菌やウイルスにとって最大の敵は「乾燥」。歯ブラシが完全に乾く過程で、死滅しやすくなるそうです。
換気扇2~4時間 歯ブラシは“寝かせて”おく
歯ブラシの“細菌増殖”を防ぐには、風呂の換気扇はもちろん、洗面所の換気扇も風呂上がりから2~4時間は回し続け、湿気を逃がすことが効果的。
洗面所に換気扇がない場合は、窓やドアで空気の通り道をつくり、2~3時間乾燥させれば効果が得られるとのことです。一方、歯ブラシ自体の保管方法を、ちょっと変えるだけでも効果が…。
(宮本院長)
「よく乾燥させた後、毛を下にして置くと乾燥しやすい。この方法が一番良い」
宮本院長によると、歯ブラシを寝かせるように、毛先を下にして保管するのがオススメ。歯磨き粉のチューブを活用する方法もありです。
歯ブラシを立てかけるようにして保管すると、持ち手に近い部分の「毛」に水がたまり、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。また、別の歯ブラシに交換することで、感染リスクを下げる手段も…。
病気の感染リスクを下げる“オススメ保管法”
宮本院長は、通常の交換頻度を「約1か月に1回」と話します。しかし、病気から回復した人は例外。再感染のリスクを避けるため、すぐに別の歯ブラシへの交換を勧めています。
また、家族間での感染を防ぐため、インフルエンザなどに感染した人の歯ブラシは、同じ空間に置かないほうが安全だということです。
歯ブラシが“病気の感染源”にならないため、オススメ保管法をまとめると…
・食べかすを落とすようにブラシの根元まで流水で丁寧に洗う
・水気をよく切る
・毛先を下向きにして寝かせるようにして乾燥させる
特に水気を切る過程が重要で、指で弾いて水気を飛ばしたり、清潔なタオルやペーパーで軽く拭くだけでも、細菌やウイルスの生存期間を大幅に短縮できるとのこと。
歯の健康を守るため、毎日使う歯ブラシ。保管方法にかける「ひと手間」が、自分や家族の健康も守ることにつながりそうです。